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読んだ本から(3)

免疫システムは細菌やウイルスなどの異物の侵入から体を守ってくれるが、このシステムにとって重要なのが「自己」と「非自己」を区別する能力である。その能力を持つよう進化してきたわけだ。だから、他人から移植された組織や器官は拒絶する。免疫システムは、極めて柔軟性が高く、反応も迅速である。侵入してくる細菌やウイルス、特にウイルスは、体内においても恐ろしい速さで進化するので、それに対応するためだ。機能の固定された免疫で身を守るしかない無脊椎動物とは違い、私たちは侵入者の早い進化に適応していける免疫システムを持っている。

このように環境の変化に即応できるシステムは、体内には他に存在しない。免疫システムは、環境に即、適応して進化を遂げていると言ってもいいだろう。私たちの持つこの免疫システムが「適応免疫」と呼ばれるのはそのためだ。

生物学的な意味で何が「自己」で、何が「非自己」かを適応免疫が決めるという言い方もできる。問題は、このように複雑でダイナミックなシステムが、どのようにして生まれたのかということだ。脊椎動物の体内のどのシステムにも似ていない、驚くべき進化能力は、一体どこから生まれたのだろうか。 『フランク・ライアン 破壊する創造者』

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