骨が身体から離れて、勝手に仕事をしていることに気づいた。
何か作業をしている骨の後ろ姿を見ながら、腰の辺りに目をやる。
腰骨というのは、こんな形で太ももの骨と繋がっていただろうか。
写真や絵で随分みたことがある気がするが、どうも思い出せない。
腰骨というのはこれで正しい形なのだろうか。
どう見ても途中で折れたものをむりやりくっつけているような感じだ。
骨は作業に没頭しているから、後ろから見ていることに気づいていない。
眼球と脳はこちらにあるのだから、骨は目が見えていないはずだが、作業に支障はないのだろうか。
そんなことを考えていると、骨がこちらに気づいて振り返ったときのことを想像してしまった。
大きな二つの黒い穴がこちらを見つめ、お互い見つめ合うような状況になることを考えるとなんだか嫌な気持ちになり、骨がこちらに気づかないといいなと思った。
しかしいつかは骨のしている何らかの作業も終わるだろう。
いつまでもこのままという訳にはいかない。
こうなって初めて解ったのだが、基礎となる骨がないと身体中の筋肉が上手く働かず、それは目の周辺も例外ではない。
まばたきができないのだ。ということは、目を閉じることもできない。
当然、首を動かすこともできない。
いつか振り返った骨と目を合わせる時が来るまで、このまま見ていなければならないということだ。