淡い色が好きだ。うすーいピンクとか。うすーい水色、少し黄色っぽい、あとうすーいグレーとか。
アイボリーも良い。
そういえば病院の病室のカーテンであるとか、棚の色やら機器の枠とか、だいたいそういう淡い色をしている。そこには、目に優しいとか柔らかい印象を与えるとか、様々な「配慮」があるだろう。当たり前のことだが、病院というのは病気になった人が入る場所で、通常は誰もが目を背けたくなるようなことであふれている。ある部屋では血や肉や内臓が剥き出しになり、また腐敗や老い、何より人の生の終わりに向き合う場所でもある。そういう場所だからこそ様々な配慮が必要で、色に関する配慮もその一部と言えるだろう。
見方を変えれば、その配慮はそのような生々しい現実を覆い隠し、「誤魔化す」為のものでもある。
わざわざそんな言い方をする必要もないのだが、私はそこに何か人間のかなり大事な、不安定な、強さや弱さみたいなものを一緒くたに感じる。それこそが人間の最も奇妙で滑稽で、愛すべき点なのかもしれないと思う。
だから淡い色が好きだ。
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